フランス

オーヴェル=シュル=オワーズでゴッホの最期を辿る旅

パリ近郊の町、オーヴェル=シュル=オワーズ(Auvers-sur-Oise)

パリに近い地理的条件から、セザンヌやコロー、ピサロなどが滞在したことでも知られています。
とりわけフィンセント・ファン・ゴッホが人生最後の時を過ごし、70点もの作品を描いたことでも知られています。

現在でもゴッホの部屋があったラヴー亭や、絵の題材にしたオーヴェル教会、ガシェ医師の家、弟・テオと共に眠る墓など、ゆかりのある場所が数多く残っています。

ゴッホ好きを自称する者として、ゴッホが最期を過ごしたオーヴェールの町へ行ってきました。
これから行かれる方やゴッホがお好きな方に参考になれば幸いです。

オーヴェル=シュル=オワーズ(Auvers-sur-Oise)への行き方

 

パリからオーヴェルへの分かりやすい行き方は2通りあります。

サン・ラザール駅(SAINT LAZARE)からポントアーズ(PONTOISE)乗り換えでオーヴェル=シュル=オワーズ(Auvers-sur-Oise)へ。

パリ・北駅(GARE DE NORD)からポントアーズ(PONTOISE)乗り換えでオーヴェル=シュル=オワーズ(Auvers-sur-Oise)へ。もしくはヴァルモンドワ(Valmondois)で乗り換えです。

どちらもポントアーズで乗り換えは変わりません。
滞在先のホテルやアパルトマンからの移動が近い方を選ぶのがベストです。

今回はサン・ラザール駅から向かいました。

※移動時間は乗り換え待ちの時間などを含めて約1時間30分程度です。

まずはサン・ラザールからポントアーズへ。
こちらは1時間に約1本の運行、乗車時間は約40分です。

あまりゆっくりしている暇もなくポントアーズ到着。天気も良好!

乗り継ぎ時間が45分ほどあったので散策と腹ごしらへを兼ねてプラプラ。

駅から見える道の先に協会が見えます、時間があればゆっくり見て回りたいところですが目的地はオーヴェールです。

駅前のブーランジェリーでサンドイッチを購入しました。

再びSNCFに乗車、オーヴェル行きも約1時間に一本の運行です。

乗り遅れないように注意しましょう。

ポントアーズから約15分で、今回の目的地のオーヴェル=シュル=オワーズへ到着しました。

オーヴェルの駅

駅の構内、出口へ向かう移動の際にびっくり。

地下通路はゴッホへの愛に溢れたペイントで彩られていました。

オーヴェルの町に降り立つ前にテンションが上がりますね。

花咲く麦畑

教会を描くゴッホもありました。

天国のゴッホもこれを知ったらきっと驚くでしょうね。

オーヴェルの観光案内所

オーヴェルに到着したらまずは、観光案内所へ。

地図やゴッホ関連のグッズも販売しています。

案内所横の広場にはゴッホの像もありますよ。

Office de Tourisme

住所:Rue de la Sansonne Auvers-sur-Oise

TEL : 01 30 36 10 06

オーヴェル協会

オーヴェル=シュル=オワーズ教会(L’Eglise d’Auvers-sur-Oise)はオルセー美術館が所蔵するゴッホの油絵としても有名です。絵のモデルになった実物がオーヴェルにあります。

オーヴェル教会は13世紀のゴシック様式の教会です。

ゴシック様式が生まれるまでの主流はロマネスク様式。ロマネスク様式の天井部分は石材でできた半円アーチで作られており、必要な石材が多かったため、壁や柱は分厚く、建物自体も背が低いという特徴がありました。

このロマネスク様式の課題でもあった天井の重さを改善するために、ゴシック様式では「尖頭型アーチ」と呼ばれる三角形に近い半円の天井が発明されました。

この効果により、これまで横方向に広がっていた重みが減り、壁を薄く、建物をより高く作ることができるようになりました。

ゴッホの描いた絵のパネルも教会前に展示されています。

何度もオルセーで見ていた実際の場所に来られて感動!!

あくまで教会なので、見学の際は静かに。

内部も美しいまま保たれていますね。

ステンドグラスもとても美しい。

L’église d’Auvers-sur-Oise
住所:Place de l’Eglise, 95430 Auvers-sur-Oise

ゴッホとテオの眠る墓

オーヴェルの教会から歩いて10分ほど。

広がる青空、吹き抜ける風が心地よい。この場所をゴッホも歩いたと思うと足取りも軽くなります。

お墓(こちらは共同墓地です)に到着しました。奥に進みます。

こちらがゴッホと弟の眠るお墓です。
お墓全体が蔦に包まれています。

ゴッホの画業は27歳から、自ら命を絶つ37歳までのわずか10年余りに過ぎません。

この間に約2千枚もの絵を残しましたが、弟テオの支援がなければ絵の具さえ買えなかったた。兄の才能を信じて支援し続けた兄弟愛。

兄ゴッホが亡くなり、テオも精神が不安定に。半年後兄のあとを追うようにこの世を去りました。

今は蔦が二人を繋ぐように、隣で眠っています。

ラヴー亭

ラヴー亭はゴッホが生涯最後の71日間を過ごした場所で、1階のレストランは現在も営業を続けています。
画家仲間のピサロの紹介で精神科医のポール・ガシェを頼りラヴー亭の3階の屋根裏部屋に住んでいました。

レストランでゴッホは右奥の一人用のテーブルでいつも食事を取っていたそう。
お時間がある方は、ゆっくり食事を楽しまれてはいかがでしょうか。

昔の写真もお店の入り口横に展示がありました。

MAISON DE VAN GOGH – AUBERGE RAVOUX

住所:52 Rue du Général de Gaulle, 95430 Auvers-sur-Oise

01 30 36 60 60

ゴッホの見た景色

オーヴェルの町は半日観光にピッタリ。

歩いていると、実際にゴッホが描いた場所にたくさんのパネル展示もあります。

オーヴェル町役場,1890

ドービニーの庭,1890

カラスのいる麦畑,1890

どこを切り取っても画になる町は散策も楽しいですね。

お花もたくさん、やはり春から初夏にかけての訪問をお勧めします。

オーヴェールの翌日にオルセーへ

ここからは個人的なお勧めのモデルコースのご紹介です。

オーヴェルにショートトリップの翌日はオルセー美術館でゴッホの描いた教会や自画像を見ること!

前日に自分の目で見た光景がありありと思い浮かび、ゴッホの筆跡からも強く躍動感を感じることができます。

ゴッホとテオのお墓へ行った翌日に、このゴッホの自画像に見つめられると「君はしっかり人生を生きているか?」と問いかけられているような不思議な気持ちになります。

短い命を燃やし、絵画に心酔しすべての情熱を注ぎこんだゴッホ。

彼の最期の息吹をオーヴェールで感じてみてはいかがでしょうか。